太陽光発電協会(JPEA/東京都港区)は、2020年5月18日、「2050年の日本の電力シェアのうち約30%を太陽光発電で賄う」との新たなビジョンを発表しました。パリ協定の長期目標から逆算したビジョンとして、同協会が力強く発表した新たな声明です。太陽光発電投資の将来性も、今よりますます明るくなっていく予感です。
太陽光発電投資とは、太陽光発電設備を利用した「投資」です。「投資」である以上は、現在よりも将来のほうが伸びる、との期待が前提となります。
果たして日本における太陽光発電は、現在よりも将来のほうが伸びる、という期待が成り立つのでしょうか?
まずは、2019年の日本国内における電源構成の現状を確認してみましょう。
電力調査統計などによると、日本国内における電源構成の比率は、次のようなものと考えられます(速報値としてお考えください)。構成比の大きい順で見ていきましょう。
ほんの数年前までは、太陽光発電を含む自然エネルギーが占める割合は、ほんのわずかでした。
ところが2019年になると、上記のように太陽光や水力が上位に登場。水力は古くから利用されている電源と考えれば、太陽光の躍進は目を見張るものがあります。
では、太陽光発電を含めた各電源の将来性を予測するため、エネルギー全体における電源別のシェアを時系列で見てみましょう。
電源 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 |
---|---|---|---|---|---|---|
火力(※) | 87.9% | 85.7% | 83.6% | 80.8% | 77.9% | 75.0% |
原子力 | 0.0% | 0.4% | 1.7% | 2.8% | 4.7% | 6.5% |
太陽光 | 1.9% | 3.0% | 4.4% | 5.7% | 6.5% | 7.4% |
水力 | 8.0% | 8.6% | 7.6% | 7.6% | 7.8% | 7.4% |
バイオマス | 1.5% | 1.5% | 1.9% | 2.0% | 2.2% | 2.7% |
風力 | 0.47% | 0.50% | 0.54% | 0.61% | 0.69% | 0.76% |
地熱 | 0.24% | 0.25% | 0.22% | 0.21% | 0.22% | 0.24% |
※天然ガス、石炭、石油、その他火力をすべて含む
全体感としては、これまで電源の主軸であった火力発電が、年々減少傾向にあるという印象。併せて、太陽光をはじめとした一部の自然エネルギー発電が、年々増加傾向にあるという印象です。
では、各電源について、2014年から2019年までの間にどれだけシェアが増減したかを確認してみましょう。
それぞれの電源で多少の増減があるものの、太陽光だけが突出して急増していることに気付くでしょう。
なお、先の時系列で示した表を改めて確認していただくと、太陽光は年々1%プラスのようなペースでシェアを増加させていることが分かります。太陽光発電協会は「2050年の日本の電力シェアのうち約30%を太陽光発電で賄う」とのビジョンを表明しましたが、単純に現在のペースで太陽光のシェアが増加し続けた場合、2050年には協会の目標を大幅に超える37%程度に達します。
太陽光発電の将来を占ううえでは、自然エネルギー導入の先進地域でもあるヨーロッパ(EU)の電源推移や現状を見ておくことも有効です。
EUでは、1990年代以降、自然エネルギーの導入に積極的。電源全体に占める自然エネルギーの比率は、2017年に30%を超え、わずか2年後の2019年には34%にも達しました。
ヨーロッパの中でも特に注目すべき国がデンマーク。年間発電量のうち自然エネルギーが占める割合は、実に84%にも達しています。中でも風力と太陽光の割合が大きく、両者を合わせて年間発電量の約55%を占めています。
パリ協定にも見られる通り、世界のエネルギー構成はヨーロッパの推移を目標に動いています。加えて日本は京都議定書を採択したホスト国。日本においては、原子力発電の将来はまだ不透明な状況ですが、少なくとも火力発電の比率が徐々に減少していくこと、自然エネルギー発電の比率が徐々に増加していくことは、おおむね既定路線になりつつあるようです。
日本の太陽光発電投資においては、「固定買取制度の買取単価が年々減少している」というマイナスの視点からの指摘が多く見られます。その一方で、現実には上の「数字」で示した通り、太陽光発電のシェアは着実に成長しています。
これら推移や現状に鑑みるに、太陽光発電の将来性は高い、と判断するのが自然ではないでしょうか?
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