太陽光発電に対する税額控除が受けられるケースって？

太陽光発電を導入・運用するにあたり、ケースによっては税額控除を受けられる場合があります。では、税額控除が適用されるケースとはどのようなものでしょうか。今回は、太陽光発電で税額控除を受けられるケースについて、また適用される税制について解説します。

全量売電の太陽光発電では税額控除を受けられない

経済産業省では、太陽光発電で得た電力を全量売電する場合、電気業として電気を売買することを生業とする事業者とみなします。この場合、下記に説明する税制の対象外となり、税額控除を受けることができないとしているのです。つまり、逆にいえば税額控除を受けられるのは、太陽光発電で得た電力を自家消費しているか、余剰電力を売電している企業のみとなります。また、それらの場合でも条件によって税額控除が適用されるか否かが異なるため、税務署に相談してみましょう。

中小企業経営強化税制

中小企業経営強化税制とは

中小企業経営強化税制とは、中小企業の生産性の下降や経営力低下を食い止め、向上させるために設けられた支援措置です。この税制における節税方法には、即時償却と税額控除（いずれも資本金1億円以下の企業に適用）があります。さらに、この税制の対象になる設備は生産性を向上させる設備=A類型・収益力をアップさせる設備=B類型に分けられ、太陽光発電は収益に影響するものであるため、B類型にあたります。

税額控除の条件と控除率

中小企業経営強化税制において税額控除を受ける場合、A類型とB類型それぞれに条件が設けられています。太陽光発電が該当するB類型では、設備投資計画における収益率が年平均5％であることなどです。税額の控除率は、資本金3000万円以下の場合は10％、資本金3000万円超から1億円以下であれば7％です。ちなみに、対象外となるのは大規模法人1社から2分の1以上、もしくは複数の大規模法人から3分の2以上の出資を受けている場合です。

中小企業投資促進税制

中小企業投資促進税制とは

中小企業投資促進税制とは、中小企業における設備投資を促進させるために設けられた支援措置で、こちらは特別償却（資本金1億円以下の企業に適用）と税額控除（資本金3000万円以下の企業に適用）の2つの方法で節税が可能です。対象設備は、機械装置や器具備品、建物など定められた分類の中で、生産性を向上させる設備=A類型と、生産工程・オペレーションの改善を図るもの=B類型があります。太陽光発電は、オペレーション改善に役立てられるものであるため、B類型です。

税額控除の条件と控除率

中小企業投資促進税制の税額控除については、資本金3000万円以下の中小企業に適用され、設備投資計画における利益率5％以上などが条件となっています。税額控除率は、一律で7％であり、対象外となる企業の条件については、中小企業経営強化税制と同様です。

即時償却と税額控除の違い

即時償却とは、設備の取得価額の一部または全部を減価償却費として計上できるものです。ちなみに、減価償却費の一部のみ計上する場合は特別償却とされます。これにより、その年度の所得を圧縮することができ、節税につながるのです。一方、税額控除とは減価償却費にかかわらず設備の取得価額の一部を税額から差し引くことができます。税額控除では、減価償却費の計上とは別で控除が可能であるため、節税効果も大きいといえます。

まとめ

太陽光発電において発電した電力を中小企業が自家消費、もしくは余剰電力の売電をおこなう場合は、即時償却・特別償却もしくは税額控除の形で節税が可能です。条件や期間に関しては、詳細を確認してください。そして、全量売電が目的の電気業とみなされた場合はこの税制を利用できないため、注意しましょう。