太陽光発電導入での保険の必要性

太陽光発電は売電収入を得られるほか、災害時の非常用電源としても活用できるなど導入メリットの多いシステムです。しかし、忘れてはいけないのが太陽光発電システムに潜む経済的リスクです。今回は太陽光発電に伴うリスクと保険の内容を紹介します。

太陽光発電システムのリスクとは

太陽光発電を設置すると、さまざまなリスクに見舞われます。

盗難や破損

太陽光発電システムには、電線やパネルを盗難されるリスク、自然災害に遭うリスクが存在します。

太陽光発電に使用されている電線には銅が用いられていますが、銅線は高値で取引きされる素材です。盗難防止のため、太陽光発電システムの周辺には防犯カメラの設置が必要です。

また、近年では台風やゲリラ豪雨、地震、ひょうといった自然災害によって、太陽光パネルが破損したり吹き飛んだりして、故障するケースも出ています。

第三者への賠償リスク

災害や経年劣化によって本体が落下したり、部品が飛んだりして、太陽光発電設備が周囲の人や車、住宅に被害を与えてしまう可能性があります。

また、太陽光パネルから反射した光が近隣の住宅やオフィスに入り込む「光害」トラブルを引き起こすこともあります。

このような太陽光発電システムを原因とするトラブルで訴えられたとき、賠償責任が生じる可能性があることも理解しておきましょう。

売電収入のダウン

太陽光発電は、ローンを組み売電収入で返済するのが一般的です。しかし、災害で破損したり、盗難や破壊に遭ったりすると、発電、売電ができなくなります。修理期間は売電収入がなくなり、ローン返済と修繕コスト、さらには余分な電気代がかかって家計を圧迫します。

また、電力会社は家庭の太陽光発電を対象として、出力抑制措置を実施できるようになりました。これにより電力の需給バランスによっては、売電できなくなることもあります。

太陽光発電の保険

太陽光発電のリスクをカバーするのが保険です。太陽光発電に関係するのは4つのタイプの保険です。

火災保険、不動産総合保険

火災保険とは、住宅および住宅に付随する物に対する保険です。火災、風災、豪雨といった災害によって被害を受けた場合に、損失分を補償してくれます。

不動産総合保険は、不動産以外の財産を対象とした保険です。火災保険で対象外の災害（水災など）や、第三者による盗難や破損まで補償を受けることが可能です。一般的には、火災保険と動産総合保険（住宅総合保険）をセットで契約します。

施設賠償責任保険

施設賠償責任保険とは、たとえば太陽光パネルが破損、落下して、人や物へ被害を与えてしまった際に、与えた損害を補償する保険です。保険料は比較的少額ですので、こちらも加入しておくべき保険の1つです。

太陽光発電を設置している住宅で、人通りの多い道路に面している場合は、特に加入メリットの大きな保険でしょう。

売電収入補償特約

売電収入補償特約は、突発的な出来事によって太陽光発電の運転を停止しなければならない場合、設備の復旧が完了するまで一定額補償してくれます。ローンの返済を売電に依存している方には必須の特約です。

出力抑制保険

出力抑制保険は、電力会社が出力抑制を実施して売電量が減少した場合に、補償を受けられる保険です。太陽光発電設備の販売会社が動産総合保険などとセットで提供しています。

メーカー保証もしっかり確認

太陽光発電メーカーは製品保証と出力保証をしています。

製品保証は製造上の不具合を原因とする故障時に、無償で交換や修理をしてくれる保証です。一方、出力保証とは太陽光発電の発電量（発電効率）が減少した際に、パネル交換や修理などを無償対応してくれる保証です。

保証期間は、製品保証が15年前後、出力保証は25年程度と長期です。メーカーによっても保証範囲や期間が異なるので、契約前に確認しておきましょう。

まとめ

太陽光発電には、物理的な破損リスクと賠償リスク、そしてそれらに伴う金銭的なリスクが存在します。こういったリスクを回避する方法が保険加入です。万が一のときにも慌てないよう、必要な保険に入っておきましょう。