太陽光発電はどのような法律のもとで活用される？

太陽光発電システムの設置および運用については、法律のもとに管理されています。では、太陽光発電にかかる法律にはどのようなものがあるのでしょうか。今回は、太陽光発電はじめ再生可能エネルギーに関するさまざまな法律について解説します。

太陽光発電にかかる法律の基本は電気事業法

電気事業法とは

電気事業法とは、1964年に経済産業省より施行された法律です。この法律の目的は、電気事業の運営を適正におこなうこと、電気にかかる工作物において安全性および環境保全を確保するものです。電気事業法は何度か改正がおこなわれており、1995年の改正では太陽光発電で得た電力の売電ができるようになり、電力の自由化の1歩となりました。

太陽光発電は電気事業法のもとで運用される

太陽光発電で得た電力は、電力会社に売電することによって電力供給をおこなうことになります。電力供給側には、適正な運用をおこなうための規制が必要です。そのため、太陽光発電は電気事業法のもとに適用されることになっているのです。そのため、個人であっても太陽光発電の導入にあたっては、電気事業法をよく理解・遵守して運用をしなければなりません。

電気事業法にかかわる義務について

電気事業法では、太陽光発電をはじめとする発電設備に関して義務を設けています。それは、設置容量50kWを超える設備について、電気主任技術者を置くこと・保安規定届出をおこなうこと・技術基準に基づいて設備の維持管理をおこなうことです。ちなみに、設置容量50kW未満であれば、3つめ以外は免除されることとなっています。

電気事業法の技術基準

太陽光発電システム設置においては、どのような条件でも電気事業法で定められた技術基準を満たす必要があります。システムがこの基準に満たない場合は、自ら補修をおこなわなければなりません。技術基準を満たしているかどうかは、システム設計図や仕様書、配線図などの資料で確認されます。

FIT法について

FIT法は電気事業法とは別のもの

太陽光発電においては、FIT法=再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法のもとに設置・運用がおこなわれます。このFIT法は電気事業法とは別のものであり、FIT法で認定を受けた設備であっても、電気事業法に違反している場合はFIT法にかかわらず電気事業法が行使されるのです。

FIT法における再生可能エネルギーの買取について

FIT法では、太陽光発電などで得た電力を、一定期間において電力会社が固定金額で買い取ることが定められています。この固定価格買取制度は2012年に改正され、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーによる発電設備には、個人・法人にかかわらず適用されます。電力の売電は、FIT法で認定を受けた設備のみ可能です。

2022年に改正予定

FIT法は2022年に改正される予定です。改正内容としては、固定価格買取制度に代わり、市場価格に応じたプレミアム価格を付与するFIP制度の導入、再生可能エネルギーにおける連携系統の増強などが盛り込まれるとされています。

太陽光発電と建築基準法

太陽光発電システムを建物に搭載する場合、建築基準法に基づいて耐久性・防火性・構造耐力・安全性を確認する必要があります。また、土地に設置する太陽光発電システムでも、その土地で太陽光発電以外の用途を兼ねる場合には建築物の扱いになるため、注意が必要です。ただし、太陽光発電システムが高さ4mを超えるときは、電気事業法における電気工作物とみなされ、建築基準法ではなく電気事業法が適用されます。

まとめ

太陽光発電の設置・運用については、電気事業法・FIT法・建築基準業それぞれを遵守する必要があり、適用条件はケースごとに異なります。これらいずれかの法律に反した場合は罰則が設けられているため、注意が必要です。太陽光発電を導入する際には、法律関係についてもよく把握しておきましょう。